「投稿に関するよくある質問」(FAQ) (87巻1号以降) (2021年7月4日 第29期編集委員会承認)



Q1 共著論文で「学会員が投稿原稿の実質的な主要著者である」とはどのような意味ですか?
Q2 「未公刊」の原稿とは何を意味しますか?
Q3 海外での既発表の原稿をもとに投稿することは可能ですか?
Q4 原稿の審査はどのように行われますか? 掲載可となるにはどの程度の時間を見込む必要がありますか?
Q5 投稿したいけれど、どの投稿区分に向けて原稿を準備したらいいか迷っています。
Q6 特集はどのような形で組まれるのですか?
Q7 字数オーバーはどこまで可能ですか? また、写真・図・表の扱いはどうなりますか?
Q8 カバーレターは、どんな場合に、どんな形式で書いたら良いですか?
Q9 英文校閲はどのような水準の作業が求められますか。例えば業者に依頼する場合、どのレベルのサービスを依頼したら良いですか?


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Q1 共著論文で「学会員が投稿原稿の実質的な主要著者である」とはどのような意味ですか?(投稿規程1関連) 

A1 まず量的基準で考えるならば、「学会員(または学会員である共著者全員)の実質的な執筆担当部分が少なくとも7割程度であること」を意味します。ただし、論文なので量的基準を機械的に当てはめることは必ずしも適切ではありません。非学会員による執筆部分が論文の核心部分に相当するならば、その部分の比重は内容的にみて3割を大きく超えると考えるべきですし、他方、学会員の担当部分が非学会員の担当部分に比べてはるかに大きな重要度を持つ場合、量的には6割前後であっても内容的にみて明らかに「学会員が主要著者である」と主張できる場合もあるかもしれません。完全な共同作業で誰が執筆者であるか区別しにくい部分については、内容的比重で考えることになりますが、非学会員との共同執筆部分自体が大半であれば、その方に学会員になっていただくことが求められます。

 いずれにせよ、非学会員との共著論文で、上記の量的基準を目安として投稿可能であると考える場合には、「カバーレター」(Q8を参照)を作成して、学会員と非学会員の貢献がそれぞれどのようなものであるのかについて、量的な面および必要であれば質的な面の双方から明瞭な説明を行う必要があります。

 なお、原稿の日本語本文の執筆を担当していない、非学会員の情報提供者や調査協力者について、その貢献を公認する意図で共著者として掲げる場合も、「カバーレター」を作成して事情を説明してください。


Q2 「未公刊」の原稿とは何を意味しますか?(投稿規程2関連)

A2 「未公刊」であるとは、発表の言語にかかわらず、その原稿の中心的な議論またはデータが、既発表、掲載予定ないし審査中のどの原稿にも盛り込まれていない〈新規性〉を持つことを言います。この新規性は、第三者によって認められうるものでなければなりません。なお、『文化人類学』に短期間で二つの原稿を投稿することは、両者の内容が別であるならば、差し支えありません。

 以下、この〈新規性〉に関し、二つの点についてより細かく説明します。

1)「未公刊」とは学術的刊行物(学術的内容を含む一般書籍・雑誌を含む)を念頭において定義されるものです。学術的刊行物以外の形で刊行された内容(科学研究費補助金報告書、学位論文、個人のウェブサイト、新聞記事等)は、上記の制限には関係しません。また学会や研究会での予稿集や会議録等は、本格的な学術論文の形を取っていないものとみなし、やはり上記の制限には関係しません。

2)他の媒体において既発表ないし投稿中の原稿があり、それと何らかの意味で重複する内容の論文を『文化人類学』に投稿する場合は、新たな投稿論文が十分な〈新規性〉を持つことが不可欠です(編集委員会と査読者がこれを確認することになります)。実際のステップとしては、投稿者は、①論文中で別論文に明瞭に言及すること、②投稿時に「カバーレター」(以下のQ8も参照)を作成し、そこで投稿原稿と別原稿との共通部分が何であるか、また投稿原稿が持つ〈新規性〉が何であるかを明瞭に説明すること、③投稿時に当該の別論文を参考資料として送付すること、が必要になります。『文化人類学』の「研究報告」で既発表の内容を部分的に用いて新たな論文を投稿する場合も、この手続きに従ってください。

 以上の手続きを経ずに論文が『文化人類学』に掲載され、後に、当該論文が上記の意味で「未公刊」ではなかったと疑われる場合、掲載が取り消されることがあります。

 海外の媒体での既発表原稿については、次のQ3も参照してください。


Q3 海外での既発表の原稿をもとに投稿することは可能ですか?(投稿規程2関連)

A3 海外雑誌において既発表の論文の場合も、原則としてはQと同じ基準が当てはまります。ただし、海外の特殊な読者を対象として刊行された論考を、日本文化人類学会員を読者として想定した日本語版として、新たに日本語の関係文献も盛り込みつつ事実上書き直した場合、重点の置き方が変化したり、新たな論点が盛り込まれたりして、著者自身にとって〈新規性〉が含まれていると感じられる場合もあります。この場合も、Q2の2)と同じ手続きによって、〈新規性〉の根拠を明瞭に説明してください。編集委員会と査読者が慎重に検討し、その〈新規性〉が十分なものであるか否かを判断します。

 なお、かりに〈新規性〉が不十分である(=元の論考と本質的に同一である)と判断されても、元の論考がそれ自体論文として非常に価値の高いものである場合、「二次出版」として掲載してもよいという判断が出される可能性があります。具体的には、①当該論考の内容が極めて高い〈新規性〉を含んでいる、②元の論考が学会員にとってアクセスが困難な形で公刊されている(学会員の大半が読めない言語で書かれた論考等)、という二つの側面を総合的に考慮しつつ、『文化人類学』での再録が有意義であると判定される場合があります(これは「許容される二次出版 acceptable secondary publication」と呼ばれるものです)。「二次出版」の場合、投稿者は業績として掲げる際に同一論考の別言語版であることを明記することが必要になります(投稿者はもちろん、この形での掲載を望まない場合には原稿を取り下げることができます)。

 もちろん、最初から「二次出版」を念頭に置いて投稿することも可能です。カバーレターでその旨を明記し、原論文を参考資料として送付してください。掲載可否の判断基準は上記と同じです。


Q4 原稿の審査はどのように行われますか? 掲載可となるにはどの程度の時間を見込む必要がありますか?(投稿規程3関連)

A4 投稿された原稿は、投稿区分や原稿の性質に従い、プレ査読、本査読、あるいは編集委員会による内容チェックなどが行われます。査読過程の詳細については「査読過程に関するガイドライン」(および「査読規程」)をご覧ください。以下、「原著論文」、「萌芽論文」、「展望論文」の査読過程について述べます(他の投稿区分の場合はこれと同様、または、これよりも簡略化された形になります)。

 査読意見が分かれた場合などの例外はありますが、通常は、投稿後2ヶ月前後のうちに審査結果が投稿者に戻されます。ここで若干の修正を経て掲載可となる場合もありえますが、多くの場合は、1ヶ月程度(より長く設定される場合もあり)の修正期間のもとで再投稿が提案され、そして再投稿の後に再査読が行われます。再々投稿が必要と判断された場合は、それをもとに再々査読が行われます。編集委員会はこれをもとに最終的な掲載可否の判断をします(下の図を参照)。

「論文」等査読過程の概略

 初投稿から「掲載可」(アクセプト)となるまでにかかる時間は、最短で2ヶ月前後、多くの場合4〜5ヶ月前後ですが、査読過程はケースバイケースであるため(査読意見が大きく分かれるケース、また査読意見の提出が遅れるケース等もあります)、これ以上に時間がかかる場合もあります。なお、以上は公式の「掲載可」通知が出るまでの時間であり、その後、紙媒体での実際の刊行に至るには、さらに最低限3ヶ月前後の時間を要します。


Q5 投稿したいけれど、どの投稿区分に向けて原稿を準備したらいいか迷っています。(投稿規程4および「付録:投稿区分詳細」関連)

A5 以下、いくつかの場合に分けて説明しますので、参考にしてください。

A. 主としてフィールドワークの経験に触発されて原稿を書く場合: ①データ自体に十分な厚みがある場合、または、データを方法論的・理論的問題と結びつけて十分に説得力がある議論を展開できると考えられる場合は、まず「原著論文」の執筆を考えてみてください。②これに対し、データ自体ないしデータから触発された人類学的アイデアが新規性のある興味深いものであり、一定の裏付けも可能だが、「原著論文」として出すほど成熟していない場合には、「萌芽論文」の執筆が考えられます。③人類学的論考として展開する段階にはまだないが、データやアイデア、方法論等に十分な新規性があり、学会誌に掲載するに値する内容であると判断できる場合は、「フォーラム」の中での「研究報告」としての執筆も考えられます。④純粋な学問的議論としては立てにくいが、学会員の研究活動という観点から、あるいは、教育・社会活動の観点からみて周知に値する内容であると思われる場合は、「フォーラム」の中での「研究動向」や「教育・社会・研究活動」としての執筆が考えられます。

B. 主として二次資料に依拠して原稿を書く場合: ①著者独自の新規性のある考察を、内容的な分厚さ・堅固さをもって展開できそうな場合は、「原著論文」として投稿してください。②「原著論文」向きではないが、著者独自の考察を十分な説得力とともに示せそうな場合は「萌芽論文」が考えられます。とりわけ、将来十分に成熟するには時間がかかるが、挑戦的企てとしての鋭さ、新しさを主張できる場合はこの区分が適しています。③特定領域について幅広い文献のサーベイを行った結果、著者独自の立場からそれを一望して、学会員にとって新規性のあるヴィジョンを提示できる場合は、「展望論文」が考えられます。④多数の文献を一望するのではなく、むしろ少数の文献(最近刊行されたものを中心とする)を掘り下げて論評することにより、学会員にとって新規性のあるアイデアを提示できそうな場合は「書評論文」が適しています。⑤新刊書一冊について論評する場合は「レビュー」の中での「書評」として執筆してください。書評は①〜④までの論文類と同様、学会員の誰もが自発的に執筆できます(編集委員会からの投稿依頼は不要です)。また書評の対象は、最近数年間に刊行された書籍を原則とします。言語や国内・海外の別は問いません。⑥なお、『文化人類学』掲載論文をはじめとする他の学会員の研究についての学問的対話は「フォーラム」の中の「討論」として書きます。⑦また、学会員に向かって自著ないし自編著における議論の力点を端的に伝えたい場合は、「フォーラム」の中に「著書紹介」があります。自著に対して十分な距離を取り、学問的議論として、客観的な姿勢で執筆された原稿であることが必要です。

C. その他の場合: ①新投稿規程により、映像や展示についての論評もできます(「レビュー」の「映像・展示評」)。執筆上の注意点は「投稿区分詳細」を見てください。②国内外の学会やシンポジウム等に参加する中で重要な刺激を受け、学問的新しさを含んだ報告を行いうる場合は、自発的に(編集委員会からの依頼がなくても)、「フォーラム」の「研究動向」に投稿することができます。③その他、学会員に伝えるに値すると思われる執筆内容がある場合は、「フォーラム」の「研究動向」や「教育・社会・研究活動」の中での投稿をぜひご検討ください。例えばフィールドワークにおける実践的問題に関する原稿等も歓迎します(後者のカテゴリーに入ります)。執筆前に学会事務局を通じて編集委員会に問い合わせることもできます。④『文化人類学』では、研究活動の現在・未来に向けた議論だけでなく、新進の学会員がなかなか触れることのない、過去の業績や問題関心や議論を改めて提示することも重要と考えます。また、不幸にして亡くなられた学会員の業績を振り返り、次世代に知らせることもきわめて重要です。「フォーラム」の「研究史・追悼記事」を執筆する上で、編集委員会の依頼は必要ありません。他の全ての原稿と同様に審査は行いますが、学会員からの自発的な投稿をお待ちしています。


Q6 特集はどのような形で組まれるのですか?(投稿規程5関連)

A6 学会員の自発的な投稿には時期的・量的なばらつきがあることから、特集は、編集委員会が『文化人類学』の安定した刊行を続けるための手段にもなっています。このため特集においては、大半の原稿が査読を素早く通過して無事掲載に至るものであることが必要とされます。編集委員会は、学会の研究動向をなるべく反映した特集の掲載を目指して尽力しています。定期的に特集企画の募集も行います。

 特集が最終的に掲載されるためには、3本以上の論文(萌芽・展望・書評論文を含む)、および序論が所定の期間内に査読を通過せねばならず、さらに、論文のうち最低2本は原著論文でなければなりません。他方、特集の企画時に計画することのできる論文数の上限は、序論を除いて論文5本(原著・萌芽・展望・書評論文を含んだ総数)です。ただし、当初原著論文として投稿された原稿が、査読過程を経て、他のカテゴリーで掲載可となる場合もままあるため、企画段階では原著論文を4本以上含めることが望まれます。

 なお、文化人類学の多面的発展のために十分に有意義であると編集委員会が判断した場合には、特別に、非学会員の投稿に関する制限を緩めることもあります。

 特集は序論に続き、原著論文2本以上のほか、萌芽論文、展望論文、書評論文を含むことができます。


Q7 字数オーバーはどこまで可能ですか? また、写真・図・表の扱いはどうなりますか?(投稿規程6関連)

A7 制限字数に従うことは投稿者全員の義務であり、厳守が求められます。ただし、査読後の再投稿の際には、査読意見に対する返答を盛り込むことができるよう、1割までの字数超過を許容しています。再々投稿の場合の字数制限は、再投稿の場合と変わりません。

写真・図・表は、投稿時にはテンプレートの形式に従い、キャプションを加えた仮の画像を本文に貼り付けてください。そこで指定したサイズに準ずる形で印刷されることになります。印刷にあたって必要となる写真・図・表のオリジナルファイルは、掲載決定後、入稿原稿と一緒にお送りください。

 なお、ワープロソフトの文字カウント機能は、段落末の空白を勘定しない等、実際の紙面における割り付けとは異なったスペース計算になるので注意が必要です。一般に、単純計算による制限字数(例えば原著論文なら原稿用紙80枚×400字=32,000字)に合わせて文字カウントを頼りに原稿を書き、それをテンプレートに割り付けると、10%をかなり超える字数オーバーになることが少なくありません。


Q8 カバーレターは、どんな場合に、どんな形式で書いたら良いですか?(投稿規程7関連)

A8 本誌における「カバーレター」は、特に作成すべき理由がなければ、作成する必要はありません。必須となるのは、非学会員の共著者がいる場合(Q1)や、既発表の原稿等と内容的に重なる部分がある場合(Q2Q3)です。それ以外にも、著者自身が投稿原稿に関し、編集委員会に向けて補足的な説明をする意義があると考える場合には、作成することができます。

 カバーレターには前文等は不要です。編集主任宛ての形で、日付と氏名を付記し、単刀直入に、編集委員会に伝えるべき内容を過不足なく説明してください。


Q9 英文校閲はどのような水準の作業が求められますか。例えば業者に依頼する場合、どのレベルのサービスを依頼したら良いですか?(投稿規程8関連)

A9 英文要旨は、英文として自然に意味が伝わってくるレベルまでの英文校閲を必須とします。英文校閲業者は、文章レベルでの校閲(「スタンダート」等と呼ばれる)のほかに、文章の順序を入れ替えたりする、より踏み込んだeditingを行うサービス(「プレミアム」等と呼ばれる)も提供していますが、『文化人類学』の二つの英文要旨で必須となるのは前者のレベルです。業者に依頼せず、英語を母語とする学術的専門家に個人的に校閲を依頼することもできますが、この場合も同じ水準での校閲が達成されるようにしてください。

 なお、上記のような自助努力による作業を土台としたうえで、『文化人類学』やJRCAの編集委員会から、文化人類学における文章表現という観点から、追加の修正指示が出ることがあります。その場合は、指示に従って、掲載前の最後の修正を行ってください。


【参考】英文校閲業者(例)における「スタンダード」レベルでの最低料金の目安 (2019年6月現在)

エディテージ(https://editage.jp/): 『文化人類学』用要旨(150語)で900円、JRCA用英文要約版(2000語)で12,000円

エナゴ(https://www.enago.jp): 『文化人類学』用要旨(150語)で675円、JRCA用英文要約版(2000語)で10,000円

Scribendi (https://www.scribendi.com): 『文化人類学』用要旨(150語)で1,580円、JRCA用英文要約版(2000語)で7,125円

※以上はすべて最大限の時間的余裕(1〜2週間)を前提とした場合の最低料金であり、急ぎの依頼や、踏み込んだ校閲を依頼する場合は料金が上がります。また、業者により、ある程度字数オーバーで送って制限字数に切りつめてもらうよう依頼ができたり、割増料金を払って再校正保証をつけることができたり、また、追加料金で修正部分の語数のみを再校正してもらうことができたりするなど、様々な場合があります。