原著論文 (original article)
- 特徴と分量: 独創性。テンプレートで表紙+20頁以内(原稿用紙80枚以内相当)。
- 文化人類学またはその特定領域(あるいは境界領域)における、何らかの独創的知見を表現する論文。「独創性」とは、論文で提示されている新規性のある知見(データ、方法、理論等のいずれか)が、分厚い裏付けによって堅固なものとなっていることを言う。なお、求められるのは論文の中心的主張が批判に耐えうる強さを十分に持つことであって、全ての側面における完成度の高さではない。
萌芽論文 (exploratory article)
- 特徴と分量: 進取性。テンプレートで13頁以内(原稿用紙52枚以内相当)
- 文化人類学またはその特定領域(あるいは境界領域)において、進取性の感じられる知見(データ、方法、理論等のいずれか)を十分な説得力をもって表現する論文。「萌芽論文」である以上、議論として強い側面とやや弱い側面が共存していることは構わないが、後者の側面に関しても一定の態度表明は求められる。このカテゴリーは、新進研究者があまり形式にとらわれずに新鮮なアイデアを表現する場であるとともに、経験を積んだ研究者にこそ可能であるような新たな発想を表現する場でもある。
展望論文 (overview article)
- 特徴と分量: 総合性。テンプレートで10頁以内(原稿用紙40枚以内相当)。ただし参照文献は制限字数に含まれない。
- 文化人類学またはその特定領域(あるいは境界領域)における重要な文献(論文・書籍など)を、著者独自の、新規性のある視点から総説的・批判的に展望する。新興の領域や近年大きな発展のあった領域に関するレビューを行う場であるのみならず、既存の領域に関して著者が独自に切り開いた研究視角を全体として提示する場でもある。参照文献の一覧は制限枚数に勘定されないため、萌芽論文や書評論文よりも多くの数の文献を一望して包括的に論じることが可能である。
書評論文 (review article)
- 特徴と分量: 主題性。テンプレートで6〜8頁(原稿用紙21〜32枚相当)
- ある主題のもとに、近年刊行されたものを中心とする複数の文献(国内外を問わない)への論評を含めつつ、首尾一貫した新規性のある議論を提示する。冒頭にタイトル(著者独自の主題)と論評の対象となる複数の文献を掲げ、それに本文が続く形になる(もちろん、その中で適宜、他の文献も参照する)。近年の研究展開を踏まえる形で著者独自の学問的アイデアを表現する論考や、当該分野に通じた著者が近刊書について独自の視点から一つの展望を与える論考、といったものが想定される。もちろん、著者自身のデータを部分的に議論の中に組み込んでもよい。
特集序論(introductory essay for Special Theme)
- 特徴と分量: 当該特集の序論として適切な分量。上限は展望論文に準ずる。
- 当該特集の趣旨や構成に基づき、序論として適切な分量と内容の原稿が求められる。字数制限の基準として便宜上、展望論文のジャンルが言及されているが、これは特集序論のスタイルや分量を特定しているわけではない。
レビュー(reviews)
目次の大見出しは「レビュー」となり、書名や作品名等が、執筆者名とともに並ぶ形になる。「書評」「映像・展示評」の別は、「レビュー」の下位の投稿区分として正式なものだが、雑誌本体では特に明示しない。
書評
映像・展示評
- 特徴と分量: 同上。テンプレートで2〜4頁(原稿用紙5〜16枚相当)
- 人類学的内容を含んだ映像や展示に関する論評を対象とする。書評に準ずる形式で作品や展示のタイトル等を冒頭に掲げる(細かい情報は注に回す)。批評には、視聴者ないし観客の反応、教育現場その他における活用のあり方など、映像・展示自体の論評にとどまらない内容を含めてもよい。また、人類学系の映画祭や学会で発表された民族誌映画、小規模なインスタレーション等も対象に含まれる。批評対象または批評自体が『文化人類学』に掲載するに値するような内容的新規性を持つことが求められる。
フォーラム(forum)
目次の大見出しは「フォーラム」となり、各表題が執筆者名とともに並ぶ形になる。ただし、著書紹介のみは「著書紹介」とし、個々の文献名は目次には掲げない。他の下位区分名も投稿区分としては正式であるが、雑誌本体では特に明示しない。
著書紹介
- 特徴と分量: 速報性。テンプレートで2頁以内(原稿用紙8枚以内相当)
- 学会員を著者または編者とする書籍について、著者・編者自身が学会員に向けて当該書籍のねらいや重要部分を、箇条書き等でなく文章で説明する。インターネットで入手できるような情報は最小限とし、また、客観的記述を旨とすること(特別な理由がある場合を除き、読者に向かって直接語りかけるような言い回しは避ける)。編集委員会は公益性を考慮したうえで、採否や原稿チェック等を行う。編者が多数の場合は、原稿執筆者の学会員が主編者(ないしその一人)である場合に限る。
討論
- 特徴と分量: 対話性。テンプレートで5頁以内(原稿用紙20枚以内相当)
- 『文化人類学』掲載論考に限らず、学会員の研究内容をめぐっての誌上での意見表明やそれに対する応答など。編集委員会は公益性を考慮したうえで、採否や適当な分量の判断、原稿チェック等を行う。
研究報告
- 特徴と分量: 速報性。テンプレートで5頁以内(原稿用紙20枚以内相当)
- 速報性を旨とし、長期のフィールドワークに基づく暫定的報告、重要な学術的資料の紹介とそれに関する暫定的考察、新規性のある研究方法論に関する簡潔な議論、特筆すべき重要性のある国内外での共同研究の成果等について報告を行う。学会誌の誌面を占める報告であるため、著者の十分な学識に支えられた学問的作業が背景にあることが不可欠である。編集委員会は、公益性を考慮したうえで、採否や適当な分量の判断、原稿チェック等を行う。
研究動向
- 特徴と分量: 情報共有。テンプレートで5頁以内(原稿用紙20枚以内相当)
- 国内・国外を問わず、学会や重要なシンポジウム等についてのレビューを行う。ある程度包括的な記述を含むことが望ましいが、執筆者自身の視点を含めた、踏み込んだレビューを中心にしてもよい。編集委員会はあくまでもレビューの内容的充実度によって、採否や適当な分量の判断、原稿チェック等を行う。
教育・社会・研究活動
- 特徴と分量: 実践性。テンプレートで5頁以内(原稿用紙20枚以内相当)
- 学会員が知るに値する、新規性を含んだ教育や社会活動等についての報告および考察、また、学会員の実際の研究活動において有益な、例えばフィールド調査の際に役立つ情報提供(治安対策や安全確保、調査許可取得法等)および考察など。編集委員会は公益性を考慮したうえで、採否や適当な分量の判断、原稿チェック等を行う。
研究史・追悼記事
- 特徴と分量: 歴史性。原則として、テンプレートで5頁以内(原稿用紙20枚以内相当)
- 資料的・証言的意義を含んだ研究史的エッセイや、亡くなった学会員の追悼記事等。