第27期法人化検討委員会
第27期法人化検討委員会では、第26期同委員会より法人化に関する検討を引き継ぎ、調査を行ってまいりました。
非営利の任意団体である本学会が法人格を取得すべきか否かについては、会員諸氏の間で様々なご意見があるところです。しかし、今世紀に入ってから、コンプライアンスが重視され、また学術団体の公益性がより求められるようになっている環境のなか、1,900人余りの会員を抱え、選挙によってその代表が選ばれているような本学会は、「法人」とみなされてもおかしくない状況になってきています。すなわち、法人としての資格を得ることが、私たちの団体の規模、内容にふさわしい社会的認知、信頼を得るために必要になってきているといえましょう。また、法人格を得ることで、今後は、学会名で雇用や売買、契約などの法律行為を行うことができ、銀行口座も、現状のような学会長の個人名ではなく法人名義で開設できるようになります。こうしたことによって、法律的な行為や支出入行為の責任や義務の所在が明確化し、会計処理の透明性も高くなります。
以上のことから、本学会も、法人化することにより、これまで以上に社会に貢献する学術活動を行う学術団体として、社会的に認知されることが期待されます。
以下でお示しする「定款案」は、できるだけ、日本文化人類学会の現状を変更しない形で移行するように工夫をしております。とはいえ、これまでのように、毎年の研究大会で開かれる「総会」を法人における「社員総会」としてしまうことには、大きな問題が生じます。「社員総会」での決議には、通常決議と特別決議の2種があります。前者の場合には、議決に必要な定足数を撤廃することが可能です(=現在の総会と同じ運用方法が可能)が、後者の場合には、総社員の半数以上であって総社員の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならないことが規定されています(この書きぶりは少々わかりにくいですが、社員の頭数と1人当たりの社員が持っている議決権の数が同じである場合と異なる場合があるため、このようになっています。本学会は頭数=議決権の数となりますので、議案が通過するためには、社員の3分の2以上が物理的あるいは電子的な方法で賛成票を投じる必要があります。)。特別決議が必要な事項は、下記のものであり、滅多に必要になることはないと考えられます。しかし、万が一必要になった場合、会員一人一人を社員としてしまうと、1,900名余りの会員の3分の2以上の(委任状を含む)賛成票(約1,300票)を集めなければなりません 。これまでの研究大会における会員の出席率から考えると、相当ハードルが高いと言わざるを得ません。
- 会員の除名
- 監事の解任
- 定款の変更
- 解散及び残余財産の処分
- 合併及び事業の全部又は重要な一部の譲渡
- 基本財産の処分
- その他法令又はこの定款で定める事項
このため、本学会では、「代議員」制度を考えています。「代議員」は、これまでの「評議員」に当たるものですが、法人化後は、学会の意思決定の最終的な場は「総会」ではなく「評議員会」(法人化以後の「社員総会」)に移ります。現在本学会では、法人移行後、「社員」(現評議員)の数を10名程度増員することや、通常会員は、法人法に規定された社員の権利を、社員と同様に法人に対して行使することができ(定款(案)第11条9)、また、「社員総会」においては、すべての会員にも自由に陪席していただき、質問、意見を述べることができるとしています(同第11条10)。しかし、制度上は「直接民主制」から「間接民主制」に移行することになりますので、すべての会員がこれまで有してきた権利の一部に制約が生じることは否定できません。以上の点を念頭に置いていただき、定款案を熟読していただくようお願いする次第です。
「一般社団法人文化人類学会定款(案)」ダウンロード |
MsWord 2007 (or later) |
なお、南山大学での総会時にお示しした定款案から、その後若干の変更を加えておりますので、その点を簡単にご説明しておきます。
- 会員の中から選ばれた代議員は、社員となります。従いまして、社員総会にかかわる部分で、これまで代議員と記載されていた場合には、社員に訂正しました(主に第5、10章)。
- 海外在住会員というカテゴリーをやめ、居住地のいかんにかかわらず、通常会員に含めることにしました(第5条)。
- 「会計監査人」は、法令上、貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上である大規模社団法人のみ、必要となるため、削除しました(第50、61条)。
- 代議員の数を47名から57名に増員しました(第11条)。これまで本学会は、理事を2期連続務めた会員は続けて評議員に選ばないよう被選挙人名簿から外しておりましたが、今後はそれができなくなるためです。一方、社員の中から理事を選出する場合には、3期連続理事に選ばれないような工夫をすることはできます。このことから社員すなわち理事候補の母数の社員を増やすことで、理事の選択肢を広げることが必要となります。
会員各位におかれましては、定款案をご一読いただき、ご質問、ご意見を下記の窓口までお寄せいただきたくお願いいたします。理事会では、皆様からのご意見、ご要望を踏まえ、来年度の総会に向けて、定款案を練っていく予定です。なにとぞよろしくお願い申し上げます。
ご質問、ご意見の受付窓口
メールアドレス:houjinka[at]jasca.org(@を[at]に置き換えています)
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