2009年11月21日
学術研究推進のための財政的支援の重要性について
日本文化人類学会会長
山本真鳥
行政刷新会議の「事業仕分け」によって、学術関連予算の多くの費目が縮減や延期という評価が下されております。人類の文化を研究する文化人類学、社会人類学、民族学などの発展と普及を図ることを目的とした日本文化人類学会は、このような学術研究推進のための予算が縮減される事態を大いに憂慮し、日本学術会議のホーム・ページに掲載された日本学術会議会長の『我が国の学術研究推進の重要性についての会長談話』で表明された基本的な立場を支持するものであります。
特に、第3WGにおいては、「競争的資金(若手研究育成)」が仕分け対象となり、@科学技術振興調整費(若手研究者養成システム改革)」、A科学研究費補助金(若手研究(S)(A)(B)、特別研究員奨励費)、B特別研究員事業の三つの競争的資金に関し、かなり厳しい「予算要求の縮減」という評価が下されました。人文科学・社会科学の分野においては、学術研究の成果はすぐに表れるものではなく、若手への研究支援は将来への投資ともいえるものです。これらの競争的資金はそれなりの高い競争率をもち、生活補助を目的として運営されてきたものではありません。若手研究者に対する研究支援予算の縮減によって学術研究自体の魅力が薄れ、その結果優秀な人材が学術研究を志さなくなるといった事態に至るのであれば、それはゆゆしきことです。是非とも中・長期的視野に立った学術研究推進のための財政的な支援がより一層強化されることを強く要望いたします。