「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」
世話人代表 今津 寛 殿

謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 さて、最近のマスコミ等の報道により、「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」の皆様が「政府はアイヌの人々を独自性を有する先住民族として認めること」などを求める国会決議を準備されていると側聞致しましたので、この問題に関する日本文化人類学会の基本的な姿勢をお知らせしたく、ここにご連絡申し上げる次第です。

 日本文化人類学会(旧 日本民族学会)では、1989年に「アイヌ研究に関する日本民族学会研究倫理委員会の見解」を発表し、文部省や法務省等の官公庁、北海道知事、北海道教育委員会、北海道ウタリ協会、マスコミ各社、関係学会等に同文書を送付致しました。また、1996年には当時の内閣官房長官宛に日本民族学会理事会の名において「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会報告書についての見解」を送付致しました。これ以降、本学会がこの問題に関する新たな見解を表明しているわけではありませんが、2004年4月1日の日本民族学会から日本文化人類学会への学会名改称後の現在まで、これら二つの文書で表明した立場はそのまま引き継がれ、堅持されております。つきましては、両文書の写しをここに同封致しますので、ご高覧の上、これらの見解について格別のご理解を賜りますようお願い申し上げます。

敬白
平成20年6月5日
日本文化人類学会会長
山本真鳥