日本文化人類学会研究大会運営検討委員会 御中
十分推敲せずに、前便、送ってしまいました。誤字訂正したのち、新たな意見を加えました。
渡邊欣雄です。増加する研究発表者の現状に、本学会はどう対応していくか。議論の例を読むにつけ、袋小路に入ってしまう感を覚えます。じつに難しい問題に直面していることが、よくわかりました。
最良の意見ではないが、ここは理事会そのものを改革しつつ、次代の研究発表のあり方を考えた方がいいということで、「その他」の意見に属しますが、ご検討下さい。
わたしは本学会で2度、研究懇談会運営を担当してきました。そこでかねがね考えていたことを応用したらどうかということで、一案を述べさせていただきたいと思います。
研究懇談会は全国各地に、すでに組織されていて、なかでも本学会の資金援助はあるが、独立した地域の学会として運営されている例が多いと思います。ほとんどの地域は、すなわち本学会とは関わりなく会長以下の組織があり、会費を徴収し、かつ定期的に研究発表会を行って活動しているわけです。間違っていたらすみません、そんな組織がなく、本学会の完全な下部組織として運営しているのは、たしか関東地区と関西地区だけです。わたしの提案は、この両地区をより独立性の強い「支部」、あるいは他の地域と同じように「××学会」として再編し直してはどうかという提案です。
すでに存在する地域の本学会同様の目的を持つ学会では、その地域と本学会の双方に属しているなら、その会員には発表の機会が少なくとも2度、これまであったことになります。ただし本学会会員ではなく、地域の学会会員だけの人もいるだろうと思いますが、その点は問題視いたしません。
関東地区や関西地区もまた、組織、会費、発表活動を行いうる支部か学会に昇格することにより、その運営目的上、とうぜん会員の発表機会は2回以上になるはずです。その発表も、本学会がそれを「研究懇談会」その他、本学会と同様の研究発表会であると認知・認定することにより、別に以前のような「人類学民族学連合大会」の担任校として、年に2度の大会負担をしてきたような負担をせずに済むのではなかろうか? 年2回の大会をやっていたこともあることをお忘れなく。
また地域の学会組織は、それはこれまで本学会が研究懇談会としての補助金を出してきたように、あくまでも本学会と連携した学会活動を行っているわけであり、革命的な費用から発表負担までを強いることにはならないだろうと思いますし、関東地区、関西地区に学会組織ができるなら、会費・発表会・・・などの本学会による負担は、原則としてないことになります。
すでに日本社会学会には、その兄弟学会である関東社会学会があって、すでに日本社会学会との良好な関係を保っており[いや外部から見ての話ですが]、研究発表は両学会に所属しているなら、少なくとも年2回の機会が与えられているはずです。
問題は、たとえば関東文化人類学会ができたとして、そちらの学会には所属するが、日本文化人類学会には所属しない者が出てくることです。日本文化人類学会の会員が減少するのではないかということの懸念です。この点、ここは「研究発表数の増大にどう対処するか」についてだけで考えるなら、会員の減少があるとすれば、発表数の減少があるということになり、その点だけを考えるなら、なにも問題にはならないだろうと思います。
しかしできるなら、支部・地域学会にも本学会にも所属して欲しいということ。その点を貴理事会で会員を逃さない方策を検討して後、いまの研究懇談会を支部・地域学会に昇格することを、ぜひご検討願いたいと思います。地域に組織が出来るなら、そしてできた地域学会と将来も良好な関係を維持できるなら、それは本学会の発展形態の一つであり、もはやこれだけ競争が求められているいまの学問界に、日本文化人類学会しかないことそのものがおかしいと考えた方がよろしいのではないでしょうか? まあ、最良の案ではないが、当面考えられるよりよい案ではないかと思い、提案した次第です。以上。
追加意見
今度は、いまある理事会の「研究懇談会」についての改革案です。支部・学会組織のない「関東地区」と「関西地区」の研究懇談会の運営も、これまでに少なからぬ問題点があった。これを支部か学会に昇格・独立させることにより、これまでの問題は解消するだろうと思います。
関東地区の例のみあげます。
これまで理事会が交代するたびに、研究懇談会担当理事が交代し、その任期中の研究懇談会を地区で開催してきました。この研究懇談会は時期によりますが、一般会員の発表はまったく考慮されず、任期任期で方針を変えて発表会企画がなされ、時代に応じた話題が地区の会員に提供されてきました。一般会員の発表でも、修論・博論発表会だけに留まってきた。
この方針に基本的に間違いはないし、最近の傾向では、以前より地区会員の懇談会への参加増があったのではないかと思います。しかし欠点があった。それは組織がないので、あるいは任期ごとの組織なので、その任期ごとに組織が断絶して継続せず、企画のノウハウが継承されにくかったこと。テーマをもっての研究懇談会は最近の試みですが、そんな試みの中で任期を超えて継続してよいテーマがあったが、いまの臨時的な組織では、それは原則として不可能であった。
研究懇談会だけの担当理事による臨時的な組織ではなく、恒常的に運営できる組織にすることにより、時代にあった必要な連続テーマによる発表会は継続し維持できる。そればかりではなく、会長以下、会費徴収を伴う組織を作ることにより、地域に即した毎年の発表会(一般会員発表、特定テーマによるシンポジウムや従来からの特定テーマによる持続した蓄積できる研究発表、海外の発表者の招聘による発表)、また全国組織だけではできにくい、地域への学会貢献などができるのではなかろうか?
関東社会学会のように完全に独立した学会として組織するなら、改めて本学会との協約により、一般の発表会の連携を行ってよいし、同じ人物が異なった学会で年2度発表しても、本学会が悩む問題にはならないでしょう。この追加提案は、したがっていまの研究懇談会のあり方の検討をしてほしいという提案です。以上。
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